米国コロラド州ボールダーの自宅でのインタビュー。 適時このサイトに連載します。
第5回 ドリンクの奪い合い


集部:   選手村でのテロ事件勃発で1日遅れたミュンヘン五輪のマラソンがいよいよスタートしました。 

ショーター:  出場選手は約80名ほどでした。 スタジアムのトラックを2周して場外へ出ましたが、ペースは非常にゆっくりとしたものでした。 誰も自分からリードをしようと試みませんでした。 報道関係のバスが私達選手の前を立ちはだかるようにして走っていましたので、選手のペースが遅くなってしまいました。
最初の5キロは15分51秒だったと記憶していますが、これは本当に遅いペースでした。

編集部:   五輪のマラソンはよく記録ではなく勝負と言われていますが、それを見越しても遅いペースだったのですね。

ショーター:  マラソンは気候、地形などの条件に非常に左右される競技です。 マラソンはこのため記録ではなく、勝負の競技と私は思っています。

編集部:  あなたはトラック競技の出身で、そのスピードをマラソンに持ち込んだランナーとしても有名ですが、やはりスローペースなのは苦手なのですね。

ショーター:  若い頃は、トラックのスピードで最初から突っ走る事が多かったですね。 マラソンレースはよく駆け引きだとも言われていますが、それよりも自分の積んできたトレーニングに裏付けされる経験が主体で、相手の技量、そして勝負への運でしょうか。 運を自分に呼び込むのも実力のうちと思います。

編集部:  なるほど。 さて五輪レースはどのように展開していったのでしょうか

ショーター:  7キロ地点が最初の給水所(エイドステーション)でした。 ここでちょっとしたトラブルがありました。 私はガス抜きのコーラをスペシャルドリンクとして置いていたのですが、私がそれを取る前に、エチオピアの選手がさっと私のスペシャルドリンクを入れたボトルを取ってしまったのです。 仕方が無く、私はとっさにその横においてあったボトルを掴みました。 間もなく、そのボトルは私の横を走っている僚友で米国チームのケニー・ムーア選手のものだとわかったのです。 私はそれを飲む前に、彼にそのボトルを渡すべきかどうか迷いました。 何故なら、それを彼に手渡すと両者とも失格になるからです。 勿論、彼もそのルールはよく知っていました。 そして、「申し訳ない」と彼に詫びそのドリンクを飲みました。 

第6回へ続く ・・・・・・・

インタビューバックナンバー

>>inteview contents 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回  第6回 第7回 第8回 第9回  第10回 第11回 第12回

トップページへ