米国コロラド州ボールダーの自宅でのインタビュー。 適時このサイトに連載します。
第6回 レースの作戦と決断
編集部:  そのエチオピアの選手のために、貴方と同友のケニー・ムーア選手のニ人が迷惑を受けた訳ですが、初めてのエイドステーションでのこのトラブルであなた方に動揺はありましたか?

ショーター:  はい。  ケニーは1回補給できなかったのです。  私のドリンクを飲んだそのランナーを 「この野郎」 と思いましたよ。  ケニーも一緒の思いだったに違いありません。  

編集部:  マラソンレースで一度補給をミスすると、次のエイドステーションまで長いのでつらいでしょうね。

ショーター:  最近のマラソンでもそうですが、早め、早めに少しづつ補給することが常識となっています。  のどが渇いて、脱水の自覚があった時にはもう遅いのです。
次のエイドステーションで、そのランナーは再び他人のドリンクを取ろうとしていたので、私はスピードを上げて 「そいつは僕のだ!」 と言って私はそれを取り上げて飲みました。  多分、そのエチオピアのランナーは誰彼のものなしにドリンクを飲んだのではなかったでしょうか。  そして、ケニーは今度は私のドリンクを飲みました。  幸いに、ケニーと私のスペシャルドリンクはコーラのガス抜きという同じ中味でしたから。

編集部:  レースは序盤の10キロを過ぎました。

ショーター:  ええ、エイドステーションのトラブルなどはありましたが、まあ順調に走っていました。  私の足にはマメが出来ましたが、最初は気になる程ではなかったのです。  ところがだんだんとひどくなってきて、最後まで走り通せるか心配になってきました。  しかし15キロぐらいでその心配は収まってきたので、レースに集中できるようになりました。  レースは依然としてスローでした。  みんながけん制しあって、誰かがリードするのを待っているように思えました。  そこで私は「なぜ待っているのか? なぜみな出て行かないのか?」と自問自答していました。

編集部:  あなたのペースではなかった。

ショーター:   ついに私は「それじゃ、いくよ」とペースをアップしました。  またたく間に30mほどリードできました。  でも、誰も私を捕まえようと先頭集団から追っては来ませんでした。  もう少しペースをアップしたのですが依然としてだれも追従してこないので、「よし! このまま行こう」と決めました。  私はそう決めた途端、出来る限りの力を振り絞って走りました。

編集部:  随分と早いスパートですね。 

ショーター:  はい。 25キロ地点では後続に1分以上の差をつけていることが分かっていました。  また、幸運なことに僕の横を走っていたラジオ中継バスに搭乗のアナウンサーが英語で放送しており、私のリードがだんだんと大きくなっていることが聞こえてきました。  この時は相当なハイペースでした。

編集部: それはついていましたね。 

ショーター:  作戦面でリード差が分かるのは大変有利です。  イングリッシュ公園に入ってからは多くの曲がり角とアップダウンがありました。  私に有利だったのは、追う側にとって私の姿が捉えられない状況だったことです。  追う側は心理的に不安があるものです。 私にはリード差が分かっているし、追っている選手達には分からないという違いがありました。  でも、私がマークしていたクレイトン選手(豪州)がいつか追いついてくるのではとの懸念がありましたので、何度も曲がったコーナーでは後続を確認しました。 

第7回へ続く ・・・・・・・

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