米国コロラド州ボールダーの自宅でのインタビュー。 適時このサイトに連載します。
第7回 金メダルでフィニッシュ
編集部:   イングリッシュ公園で後続を確認した訳ですが、誰も貴方を追ってはこなかったのですか?

ショーター:  ええ、この頃から私の気持ちに 「もしかして・・・」 という期待感が出てきました。 そして35キロを過ぎて直線の少しの登りになり再度後続を確認しましたが誰もいませんでした。 これで私は残りを歩かない限り、後続のランナーが追いつくのは無理と判断し、そのペースを維持することにしました。
40キロを過ぎて、私は確実に勝てると分かり、あと2キロを 「ああ、神様、私はついにやった!」 と思いながら走りました。 ゲートをくぐってオリンピックスタジアムに入り、トラックを周回する時、ラストスパートを私がすればオリンピック記録が生まれるチャンスがある事をスタジアムの時計が示していても、私はスパートをしないでおこうと決めていました。 

編集部:   どうしてですか? せっかくのチャンスだったのに。

ショーター:   もう、はっきりと勝つことが出来ると分かった以上、なぜ先を急ぐ必要があるのでしょう。 私は常に思っているのですが、マラソンはタイムレースではなく勝敗レースです。 タイムを競うには、マラソンはあまりにも地形や気候に左右されるスポーツだからです。

編集部:   なるほど。 ゴールの瞬間にあなたは両手で頭を抱えるようにして激しく左右に頭を振りましたが。

ショーター:   「なんという事だ。 この私が金メダルを取ったなんて! 信じられない!」 そんな事をとっさに思いました。 ミュンヘン五輪では私は幸運だったと思います。 第一に身体の調子が良かったのと、レース前半のペースが遅すぎて、 私がスパートした時に誰も追ってこなかった事、それにランニングフォームの左右のバランスがよかったので、多くの曲がり角でペースが落ちなかったことです。 すべての曲がり角を通過するのに最短距離をとるように走りました。 アメリカのマラソンチームの結果は予想以上の出来だったと正直思いました。 私が1位、僚友のケニー・ムーアが4位でしたので。

編集部:    あなたは、アメリカに何と64年ぶりにマラソン種目での金メダルを持ち帰りましたが、その後あなたにとって何か変化はありましたか?

ショーター:    金メダルの価値は無限の利益を生み出すを人々はよく言いますが、その価値は人それぞれ違うと思います。 その価値は誰にもわかりません。 そして、時には利益をあるいは失望をもたらす場合もあります。 私はその後の人生に対する私の考え方を変えようとは思いませんでしたし、今もそのつもりです。

第8回へ続く ・・・・・・・

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